長距離走 罪と罰(上)
*作品内容の表記あり*
10月から無職になり、しばらく職探しもできないので、
10月〜12月の年内の3ヶ月の内に読破しようと決めていた一冊です。
気になった箇所をピックアップ&薄めの感想。
【10/15(木) 】 最初~p156
次は、殺っちゃう。
【10/17(土)】 p156〜p319
p308
妹の婚約者
「例えばですよ、私が今日まで隣人を愛せと言われて、その通りに広く隣人を愛してきたとしたら、どんなことになったでしょう。
私が上着を半分に裂いて、隣人に分けてやる、そして二人とも半分裸の状態になってしまう。ロシアの諺に二兎を追うものは一兎も得ず、と。
科学は教えてくれます。まず自分一人を愛せよ、なぜなら世の中の全ては、その基礎を個人の利害においているから、と。
自分一人を愛すれば、自分の問題もしかるべく処理することができるし、上着も貸さずに済むでしょう。
経済学の心理は次のようにつけ加えます。社会に安定した個人の事業、いわゆる完全な上着が多ければ多いほど、ますます社会の基盤は強固になり、従って公共事業もますます多く設立されることになる、とね。
つまり、私はもっぱら自分一人だけのために儲けながら、そうすること自体によってみんなにも利益を与えている事になり、そして結局は隣人が半分に裂けた物よりかは、いくらかマシな上着をもらうことになるのです。
それももう個人の恵みではなく、全般的な繁栄の結果なのです。」
p312
「先生、元大学生、指導的立場、事業家の犯罪。
下層階級の犯罪の増加。
公共事業、事業、強盗、襲撃、放火、偽札作り。」
・この部分の感想
例として挙げた犯罪が、150年も経ってもほとんど変わらず今も起きている。
【10/22(木)】 p319〜364
冗長な場面が続き、眠くて読めない
【11/5(木)】 p364〜410
小さな女の子と接し、その無垢な居ずまいに、主人公が鬱屈した感情から頭を上げる。
【11/12(木)】 p410〜480
主人公の友人と主人公の家族の細々した事柄。
【11/19(木)】 p481〜537
続いている
【11/26(木)】 p533-585(上巻終わり)
理論の応酬
p538
主人公の友人
「彼ら(社会主義者)の主張は簡単だ、犯罪は社会機構のアブノーマルに対する抗議だ。
彼らに言わせれば、一切が「環境に蝕まれた」ためなのだ。
それ以上の何物でもない、そしてそれ以外のいかなる理由も認めない。
この論で行くと当然、社会がノーマルに組織されたら、たちまち一切の犯罪も無くなる、と言う事になる。
抗議の理由が無くなるし、すべての人々が一瞬にして正しい人間になってしまうからだ。
自然(人間生活の営み)というものが勘定に入れられていない。自然(人間生活の営み)が押しのけられている、自然(人間生活の営み)が無視されているんだ。
彼らに言わせれば、人類の歴史の生きた道を頂上まで登りつめて、最後にひとりでにノーマルな社会に転化するのではなくて、その反対に社会システムがある数学的頭脳から割り出されて、たちまち全人類を組織し、あらゆる生きた過程を待たず、一切の歴史の生きた道を踏まずに、あっという間に公正で無垢な社会になると言うのだ。
だから、彼らは本能的に歴史というものが嫌いなのさ。
歴史の内容は醜悪と愚劣のみだ、なんてうそぶいてさ。何でも愚劣の一言で片付ける。
だから生活の生きたプロセスも嫌いなんだよ。生きた魂なんていらないんだ。生きた魂は生活を要求する。生きた魂はメカニズムに従わない。生きた魂は懐疑的だ。生きた魂は反動的だ。
ところが、彼らの人間は、死人くさいにおいもするが、ゴムで作れる。
その代わり生命がない、意志がない、奴隷だ、反逆しない。
そして結局は、共同宿舎のレンガ積みや、こき使われる、ってわけだ。
共同宿舎は、どうにかできた。
ところが共同宿舎のための自然(人間生活の営み)と言うものは、まだ出来上がっていない。
生活はほしいが、生活のプロセスがまだ完成していない。
墓に入るにはまだ早い、と言うわけだ。
論理だけでは自然(人間生活の営み)を走り抜けるわけには行かないんだよ。
論理は3つの場合しか予想しないが、それは無数にあるのだ。
その無数の場合を一切カットして、すべてを安楽(快適性)に関する1つの問題にしぼってしまうのだ。
もっとも安易な問題の解決だよ。
こんな良い事はなかろうさ、何も考えなくてもいいんだ。
魅力は、「考えなくてもいい」と言う事だよ。
一切の人生の秘密が全紙2枚に収まるんだ。」
・この部分の感想
流し読みで、うまく捉えきれてないが、内容的に今、世界が向かおうとしている世の中(新自由主義)を表しているように思え、空恐ろしく感じた。
DSの犯行予告か?1866年の作品だから、150年も前に?
最後に新たな男が登場。
下巻へ続く。
引用:罪と罰(上) 新潮社
ドストエフスキー(訳:工藤精一郎)